※桶教について、簡単な解説だけではどうしても説明しきれない部分があり、信仰を伝えるという性質上、簡略化した情報を教えることで、相手がこちらの考え方を十分に理解したとして扱う行為は不誠実であるとの判断から、現在は「やさしい日本語」版での説明の掲載を行っておりません。過去の桶教の取り組みの履歴として当ページは残してあります。通常版の解説は以下のリンクからご確認いただけます。
こんにちは、田部です。
先日、「桶教について」に記載されている内容を、「やさしい日本語」と呼ばれる書き方でリメイクしたものを公開しました。
今回は、桶教が「やさしい日本語」のページを公開するまでのお話です。
そもそも、なぜ「やさしい日本語」で書いたのか?
昨今では行政や報道といった分野で「やさしい日本語」と呼ばれる表記が注目されています。難しい漢字や曖昧な内容の文章を避け、海外から日本に来た方や、小さな子供にも理解しやすい情報伝達を目指した表現方法です。
桶教の活動範囲は主に日本です。しかし、日本で布教を行うということは、日本人にのみ布教を行うということではありません。
この国における外国人の割合は年々増加の一途を辿っています。このため、日本を中心に布教をするという方針であっても、日本語以外で桶教を案内する手段が必要になると考えました。
外国人に伝わりやすい表現で案内をする理由は、「桶教を分かりやすく伝えることで、今までよりもキスメ様を身近に感じてもらうため」ということもありますが、それだけではありません。
既に信仰を持っている方の中には、「桶教を適切に断らなければいけない」という戒律を大切にしている方もいます。例えば「ただ一つの神以外信じない」という信仰を持つ人の場合は、よく知らないままうっかりキスメ様に拝んでしまうと、「ただ一つの神以外信じない」という自分の信仰を無意識に傷つけてしまうことになる可能性もあるのです。分かりやすい案内によって桶教への理解を早めることで、こうした宗教間でのトラブルを抑えることも、相手の信仰を尊重するという桶教の方針に必要な要素になると判断しました。
しかし、日本に住む外国人の使用する言語は様々で、様々な言葉に合わせて翻訳し、個別のページを作成することは、今後サイトを更新していくことを考えるとコストが掛かりすぎます。日本向けのサイトでも、日本語と英語に対応している場合は多いですが、実のところ、日本に来る外国人の中には英語圏以外で暮らしていた方も多いため、全体として英語よりも日本語の習得率の方が高いというデータがあります。そのため、英語のみへの対応も不適切であるように思いました。
機械翻訳も試しましたが、翻訳の結果、こちらが伝えたい意味合いと変化してしまうことも多かったことから、今まで通りの「日本語」と、様々な人に伝わりやすい「やさしい日本語」の2つを掲載するという結論に至りました。
多国語への対応の難しさについては、こちらの記事に専門家の考察が載せられています。
「やさしい日本語版 桶教について」の作成にあたり参考にしたサイト
上記のサイトは「弘前大学人文学部社会言語学研究室」のホームページです。今回の計画は去年の冬から検討されており、掲載されていた情報を大いに参考にしていたのですが、今年の1月に閉鎖されました。
そのため、やさしい日本語について興味のある方がいれば、こちらのポータルサイトをお勧めします。各行政の発行するやさしい日本語のマニュアルや、やさしい日本語の記述をサポートするソフトウェアの情報などがまとめられています。
「やさしい日本語版 桶教について」完成までの道のり
「やさしい日本語版 桶教について」では、やさしい日本語の中でも少し難しい表現を使用する「カテゴリー2」と呼ばれるルールを参考にしています。
カテゴリー2の詳細については、「弘前大学人文学部社会言語学研究室」のホームページに資料があったのですが、配布されていた資料ごと閉鎖されてしまったので、ご案内できませんね……簡単に言えば、本来の「やさしい日本語」であるカテゴリー1よりも、少し文章が長く、少し難しい漢字を使用している、ということです。実際の使用現場でも、情報を記載しやすいカテゴリー2の使用頻度が高いそうです。
ここからは実際の文章を元に、やさしい日本語に変換する作業を一緒に振り返ります。
http://language.tiu.ac.jp/まず、「日本語解読学習支援システム リーディング チュウ太」に、桶教についてのページで使用されている文章を入力してみましょう。
すると、使用されている語彙や漢字が分析されます。下に表示されているのは「日本語検定」における等級で、N5が一番簡単で、N1が最も難しいレベルになっています。級外は日本語検定で扱わない複雑な表現や漢字を表します。
日本語検定の問題例は、上のサイトから挑戦できます。各レベルがどの程度の日本語能力を前提にしているか試してみるのも面白いかもしれません。
ご覧の通り、上記の文章では「難しい」と判断されてしまいました。そのため、ここから文章を削ったり、意味を整えて「やさしい」文章に変えていきます。
カテゴリー2では、N1以上の表現を可能な限り抑えることや、文章の途中を空白で区切って、内容を理解しやすくすることが求められます。上記のポータルサイトの資料を参考に書き直したものがこちらです。
NHKの「やさしい日本語」のニュースで細かいニュアンスを比較したり、実際に声に出して読んだ時に違和感がないかなどを確認したり、N1以上の難易度と判断される文章を書き換えては再度分析したり……と繰り返し変更して、ようやく「やさしい」の判定を下されました。分析では「新興」や「桶」などの漢字を難しいと判断されましたが、こちらは固有名詞ですので漢字のまま表記し、実際のページではふりがなを振るなどして対応しています。
日本語版と比較してみた
それでは、日本語版とやさしい日本語版で比較してみましょう。日本語版はこちらのリンクを、やさしい日本語版は冒頭のリンクから移動できます。
桶教の説明はコンパクトにしました
日本語版とやさしい日本語版の比較です。クリックすると画像を拡大できます。
桶教の経緯や細かいスタンスについては省略し、「桶教が何を考えていて、何をしたいのか」を簡潔にまとめてあります。
連絡先はTwitterのみを説明しました
桶教への連絡先としては、メールフォーム、Twitter、Mastodonの三種類を用意しています。しかし、できる限り多くの情報を一度に与えないようにするという観点から、やさしい日本語版のページではTwitterのみをお知らせしています。
Twitterには匿名性があるため、メールよりも気軽に意見を投稿できることや、Twitterが多国語への対応を行っていて操作しやすいことから、このような形となりました。
漢字には全てふりがなをふりました
比較の画像を比べていただければお分かりかと思いますが、全ての漢字にふりがなが付いています。また、説法のように意味の難しい言葉には、どういった意味で用いているかの説明も追記しています。
このサイトはワードプレスというソフトウェアを使って作成していますが、簡単にふりがなを振ることが可能だったので、やさしい日本語版のページを作る上で助かりました。
といっても、一つの単語ごとに読みを都度指定する必要があるので、けっこう大変でしたね。
「やさしい日本語版 桶教について」を作成して
やさしい日本語というのも、実際に使ってみるとなかなかに苦労しました。今回の紹介ではチュウ太の判定も「難しい」→「やさしい」まで簡単に直せたように話していますが、使い慣れていた表現が難しいと判断されることも多く、納得できる形になるまで、本当に何度も書き直しました。
今回の活動は、情報――とりわけ、宗教的な思想を多くの人に伝えることの難しさを考える良い機会になりました。そして、キスメ様が言葉無しで私に慈愛を伝えたことが、果てしない奇跡であることを改めて認識し、より一層信心が深まりました。
桶教ではこれからも、キスメ様を広めるための活動を模索し続けます。