宗教団体をつくろう!

こんにちは、田部です。

日本では信教の自由が保障されています。どのような神を信仰するか、どのような布教活動を行うか、一人ひとりの自由意志で決定できるというわけです。こうした布教活動を行う組織は宗教団体、あるいは宗教法人と呼ばれているというのは、何となく皆様もご存じかもしれません。

桶教もキスメ様の布教を行っていますから、つまり桶教も宗教団体……というわけではありません。桶教は自らを同人サークルと自称しています。

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なぜ桶教が宗教団体では無いのか、また宗教団体を目指すつもりが無いのかについては、以前にも上のページでお話ししていますが、要点だけまとめると、

  • 日本における宗教団体の定義に桶教が含まれていないから
  • 宗教団体として認められる要件を満たすつもりがないから

というわけです。

しかし、上記の説法を読み返して思ったのですが、そもそも宗教団体とはなんぞや? ということについて、きちんとお話ししていませんでした。今回は、宗教団体そのものについて、私自身のおさらいも兼ねてご説明します。人に教えることが一番の勉強と言いますからね。

ただ、つらつらと定義を書き連ねるだけではつまらないので、今回は一緒に宗教団体、そして選ばれし宗教団体のみがクラスアップできる宗教法人を目指すというシミュレーションを行ってみましょう。よろしければ、お付き合いください。

LEVEL1.布教するべきものを見つけよう!

あなたは神様から啓示を受けました……本当にキスメ様と巡り会った私が言うとややこしいですね。前置きしておきますが、これは桶教とは無縁のたとえ話です。キスメ様とは関係の無い架空の存在から架空の啓示を受けたというロールプレイです。

さてと、あなたは神様から「私の教えたことを他の人々にも伝えよ」との啓示を受けました。啓示を受けたあなたはいたく感動し、神様からの言葉を世間に伝えることにしました。

人々に神様の存在を伝える組織といえば宗教法人、というわけであなたは国に「宗教法人を作りたいでーす!」と掛け合いましたが、「そんなこと言われても無理だよ」とあっさりと追い返されてしまいました。どうやら、宗教法人というのは会社のように簡単に作り上げることはできないようです。

LEVEL2.まずは宗教団体をめざそう!

第二条 この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。

一 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体
二 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体

第四条 宗教団体は、この法律により、法人となることができる。

2 この法律において「宗教法人」とは、この法律により法人となつた宗教団体をいう。

引用:電子政府の総合窓口e-Gov 宗教法人法

宗教法人法第二条、および第四条にはこうあります。

なんだかややこしいですが、つまり、まずは宗教団体を作らないと宗教法人になることはできないということです。それならまずは、題名通り宗教団体をめざそうということになりますが……これがけっこう難しいのです。

「礼拝の施設を備える宗教的団体」というのは、自宅で信者の方と儀式を行う程度では認められません。神社や寺院といった、誰にでも広く公開されている宗教施設が必要になるのです。この時点で、今から準備するならそれなりの資金が必要になります。

その上で、定期的な布教活動を行い、布教者となる篤い信仰心を持つ信者を育て、信者さん全員を名簿に記録して厳密に管理し、いち組織として一定以上の秩序と規模を保つことで、ようやく宗教団体としての要件を満たすことができます。

  • 誰でも拝める神社などを所有していて、しっかり管理している。
  • 教義を広めるための活動に真摯に取り組んでいる。
  • これらの活動を支えるための事業収益や信者からのお布施がある。

まとめるとこんな感じですね。どれほど教えが素晴らしくとも、これができていなければ宗教団体ではありません。

LEVEL3.そして宗教法人へ……

宗教団体としての要件を満たし、ある程度の実績を得た上で国に認められれば、晴れて宗教法人となることができます。宗教法人となれば国が認可したという箔がつき、活動を行う上で必要な他業者からも信頼され取引が円滑に進んだり、税金の支払いが免除されたり安くなるなど、布教活動を行う上で様々なメリットを享受することができるのです。

ちなみに、ある程度の実績とは、「少なくとも数十、数百人規模で信者がいる」「最低でも3年以上の活動実績がある」「団体を管理するための事務所と、常に公開されている宗教施設を最低1つ以上有した状態でも資金に困らないほどの余裕がある」……他にも挙げればきりがありませんが、とにかく立派であることが求められます。さらに、国に認められるためには審査があり、宗教法人となる資格があるか徹底的に調査されます。

あなたはどうにか、これらの条件を満たし、自分の宗教団体を宗教法人として認めてもらうことができました。しかし、こうなったらもう、あなたの宗教は「あなただけの宗教」ではありません。

法人団体ですから、とうぜん複数の役員を設置する必要がありますし、どのような活動を行うかについても、信者や幹部との話し合いが欠かせなくなるでしょう。あなた一人では何も決められなくなります。また、収支や税金の会計書類などを事細かに揃えなければならず、収入に困ったからと言って宗教的でない事業をみだりに行うと、「それ宗教と関係ないですよね?」と国に怒られます。大変です。

先ほど申し上げたとおり、宗教法人となればメリットも大きいのですが、それに伴って責任も増すことになります。宗教法人になることも、良いことばかりではないのです。

LEVEL EX.宗教団体以外でも布教はできる

以上が、現在の日本で宗教団体を設立するまでの流れです。

冒頭で述べた「桶教が宗教団体の定義を満たしたくない」というのは、正確に言えば、信者とそれ以外の人を厳密に線引きして区別したり、教義という形でキスメ様でもない私が正しさを決めたり、特定の場所をキスメ様の場所と定めて祀るようなことをしたくないということですね。

第一条 この法律は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする。

2 憲法で保障された信教の自由は、すべての国政において尊重されなければならない。従つて、この法律のいかなる規定も、個人、集団又は団体が、その保障された自由に基いて、教義をひろめ、儀式行事を行い、その他宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならない。
(宗教団体の定義)

引用:電子政府の総合窓口e-Gov 宗教法人法

幸い、この国では宗教団体以外の宗教活動が認められていますから、桶教は今後も「サークル活動」という形式で布教活動を続けるつもりです。

信仰心を示したい場合でも、宗教団体の枠組みにこだわる必要はありません。大規模に宗教的信条を実践したいなら、それこそ収益を目的として会社を興し、咎められること無く存分に稼いでから、そのお金で活動を行っても良いのです。

例えば、経営の神様と称される松下幸之助氏は信仰に篤く、私財を投じて雷門を完成させたり、様々な神社の造営に力添えを行ってきたことでも有名です。

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松下幸之助氏は最終的に「松下幸之助社」に祀られ、本当に神様とされるまでなりました。これは極端な例ですが、小さな神社を造営するぐらいなら他の会社でも行っていますし、信仰を発現したいから宗教団体を作る! という流れそのものが古いものになるやもしれませんね。

今回の説法を通して、宗教団体になるには様々な条件を満たす必要があること、宗教団体でなくとも宗教活動を行う自由や手段があるということが伝わったのならば幸いです。それでは、また。