新興宗教桶教、代表の田部 濾井戸(たぶ ろいど)です。
当サークルでは布教活動の一環として、XとBlueskyで毎日何らかの挨拶を投稿するという活動を行っています(マストドンのgensokyo.townでは不定期投稿)。当サークルに限らず他の宗教団体も広報用アカウントを所持しており、私も活動の参考として他宗教のSNS上の投稿内容を確認しています。
しかし、自分や他宗教、様々な投稿を見ていく中で、ふと感じたことがあります。
これ、同じようなことしか話してなくね?
なぜ似たような内容になるか?
宗教の広報アカウントの投稿が、同じような雰囲気の内容ばかりになるというのは、ある種仕方のないことではあります。
宗教の広報アカウントの目的は教義に基づいた考え方や宗教行事などを伝えるものですから、物事への考え方は宗教の思想を前提とした、ある種の型にはまった形になりますし、ウケを狙ってはっちゃけた投稿をするのも難しいです。多くの人に見てもらうことばかり意識して宗教感が薄れるようなアカウント運営をし始めたら本末転倒でしょう。
このような事情もあり、宗教の広報アカウントの投稿は目新しさに欠け、強い印象を残す活動を行いにくいかもしれませんが、情報伝達やコミュニケーションの観点から継続すべきコンテンツであることも確かです。
ところで、こうした広報アカウントのあり方は「最も効率化しやすいタスク」と言い換えられるかもしれません。昨今ではAIに教義や逸話を学習させ、それを元にしたアドバイスを出力させるといった試みも行われており、布教にAIを取り入れる流れは今後さらに加速していくでしょう。もし仮に広報活動や周囲への語りかけが全て自動化できれば、別の活動を行うためのリソースを増やしたりたり、負担の軽減に繋がるかもしれません。宗教も人手不足に悩む時代ですからね。
そこで当サークルでも試験的に、2025年8月の挨拶を全てAIに任せてみて成立するのかどうかを試してみることにしました。
どのようにAIに任せたか?

今回は「NotebookLM」を利用して8月に投稿する文章を考えてもらいました。
他のAIサービスは様々な情報源を元に回答を考えますが、NotebookLMは特定の文章や動画のみを参照して回答を生成することが可能です。新興宗教桶教の過去の投稿のみを参照させた後、これを元に1ヶ月分の挨拶を考えてもらうよう指示を与えました。Xからダウンロードした過去の投稿データにはテキスト以外の文字(絵文字や改行のコード)もありましたが、AIに任せることで自動でそれらを排除して学習させることができました。文章の生成ではなく、文章の内容整理にも使えそうですね。
そして、8月中は桶教新聞の投稿日以外、以下のような形でAIが生成した文章を投稿しました。実際に投稿された他の文章につきましては、SNSアカウントから御覧ください。
AIに挨拶を投稿させた感想としては、「補助には使えるが、現段階では任せきりには出来ないな」というものでした。
何十個も挨拶の候補を挙げてもらいましたが、中には思想を読み解くという部分で少し甘い所があり、「正しく生きてキスメ様のもとに辿り着くべきだ」といった、教えにそぐわない内容が出力されてしまうこともあり、そうしたものは投稿前に省いていました。とはいえ、出力結果を手直しして宗教の思想的に正しい内容で投稿するという作業を考慮しても、自力で全部考えるよりは楽になるでしょう。2025年の時点でこれですから、かなり正確な布教ができるようになるのも時間の問題かもしれませんね。
任せている間、何をしていたか?
1ヶ月間、挨拶を考える時間が短縮されました。もちろんタイトルの通り、空いた時間を夏休みと称して休憩にも充てていましたが、それ以外ではAIに関する学習や桶教の他の活動に時間を割いていました。
AIに関する学習
様々なサービスにAIが導入される現代において、当サークルでもAIを使うか使わないかは別として、AIに関する学習は進める必要があると判断しました。画像生成の仕組みやAIサービスの比較など、気になっていた内容について調べることで、ざっくりとした概要を掴むことができたと感じています。Nano Bananaは利用者の投稿などを調べていましたが、かなり強力そうですね。
実践としてはノーコードでのプログラミングが可能かを試すために、Wordpress上で動作するおみくじゲーム制作等も行ってみました。動作を保証できないのでここにはアップロードしませんが、具体的なコードから実装方法まで教えてくれるので、かなり楽に完成できました。少しサイトを手直しするぐらいならAIに聞きながらやる、というのも可能そうですね。
ちなみに、当サークルでは頂いたキスメ様の画像をAIに与える行為は一切行っておりません。AIサービスでは与えたデータを元に学習されることも多いので、もし行うとしたらイラストレーターの許可を得たり、最初からAIを利用することを明記した上で依頼を行うなどの確認は徹底いたします。
桶教のその他の活動
御姿札やイラストの製作、宗教ニュースの検索などは、これまでも挨拶と並行して行っていましたが、時間に余裕ができた分、より深く取り組むことが可能になったと感じています。AIの使い方を調べることもできたので、AIに宗教のニュースや情勢を要約させたり、特定の問題について各宗教の思想を前提にした回答を得る……等も試すことができました。

今後、桶教ではどのようにAIを活用するか?
これまでの内容を踏まえて感じたのは、画像生成の面で迂闊に使うのは難しいということです。学習元データや生成画像の利用に関する課題が多いため、それらが解決するまでは、キスメ様のイラストは引き続き誰かに依頼する予定です。
一方で、私が自分で書いた文章やニュースの要約については、利用機会があればこれからも使えそうですね。学習面で課題がある場合も、ローカルLLMという自分のパソコン上でAIを稼働する仕組みを使うことである程度対処できるので、こちらについてはできる範囲で取り入れても良いかな、と思いました。
とはいえ、現時点ではハッキリとした使途を見つけるには至っていないというのが正直な感想です。皆様にも影響が出る場合には、今回のようにご報告したうえでAIを使おうと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。